H邸はかつて呉服業を営んでいた大型の町家です。昭和6年に水廻り棟の増築と納屋の住居棟の改修工事がなされ、現在に至っています。

 主屋は間口6.5間、奥行6間の二列3室型の総2階建てで、大屋根は煙出しのある風切り丸二列の瓦葺きの平入り、妻側の外壁と軒天は漆喰の漆籠となっています。1階部分には大戸、くぐり戸、出格子には二本子持ちの通し格子、駒寄せ、2階部分には虫籠窓などの町家らしい意匠が、ほぼオリジナルの形で残っています。内部も座敷の造作をはじめ通り庭のおくどさん、井戸、煤だらけの火袋のダイナミックな架構でした。

改修前の京町家

 しかし、近年では、この大きな主屋は生活の場として使われることがなく、ご家族5人はほとんど離れで過ごされ、孫の成長に伴いその離れも手狭になってきて、「主屋で家族そろって現代的な快適な生活をしたい」というご家族の強いご要望で大型の町家では珍しい現代的要素を積極的に取り入れた居宅とする改修工事計画が始まりました。  

 改修工事には西田一級建築士事務所の西田教子先生に入って頂いて、H様ご一家と何回もの打合せを行い、一方で弊社はH様の所有物件2件を売却し、約6千万円の資金の準備に協力させていただき改修工事を9ヶ月にわたって実施しました。設計・監理は西田一級建築士事務所、施工は町家工法に熟達した(株)木村工務店です。改修工事には京都市の「指定京町家改修補助金」と「まちの匠の知恵を生かした京都型耐震・防火リフォーム支援補助金」を利用させていただきました。

 そして、2022年7月吉日に弊社の主催により「H邸京町家完成見学会」を開催致しました。猛暑ではありましたが、日頃から京町家の改修に関わっておられる方や、京町家好きな方、改修に興味のある方など30名近くの方にご参加頂きました。

改修後の京町家

 当日、工務店の棟梁と弊社から来場者へ改修に至る経緯や工事内容の説明を行い、来場者の方々は改修代金が約6千万円かかっていてこの見ごたえのある再生京町家を各々の楽しみ方で見学され、大変満足しておられました。

 弊社もコンサルの立場で関わらせていただき、以前に改修工事を実施した北側の龍大町家キャンパスと連担した家並が実現し、弊社が実現に力を入れている「伏見町家」がまた1軒再生したことに感謝し、喜んでおります。

 このように弊社は、京町家が脚光を浴び出した時から京町家の保存や利活用にも取組をしておりますので、ご相談等がございましたらお気軽に弊社へご連絡下さい。

株式会社都ハウジング
編集:岡本 慎太郎
TEL:075-645-3191 FAX:075-645-3195
Mail:info@miyako-h.co.jp

投稿者 miyako-housing

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